2013年2月24日日曜日

東栗子トンネルの頭上の山・967.3m三等三角点峰葡萄沢山を歩く

 前々日、講師から今回の登山計画が送られてきた。其処には今度登る山の名として”葡萄沢山”と記されていた。宮城県の山に日頃関心あるものの十分な思慮に欠ける筆者は、瞬間、雁戸山の東側の登り口にある沢を連想した。ただ、山名は漢字で葡萄沢それに加えて山がある。よく見ると所在地は福島市で東栗子トンネル上部と記載されている。Web検索をしたら登山のレポートは2件のみ。あまり知られていない山だ。
葡萄沢山の名の由来は、良く分からない。一説には、鉱山やタタラ関連地を見てゆくと葡萄のつく場所が非常に多いとのこと。この付近には鉱山は多く、該当しているかも知れない。一方、ブドウとは東北から中部にかけて多い地名で、ウト、ウツ、ウトウなど窪地を指すものからの転音。或いは、連山、鈍頂の山や丘をいうとあって、山のかたちから名付けられたのかも知れない。
 
 福島飯坂ICで東北道から国道13号線に路線を変え、西に進んだ。徐々に天候が回復し薄日も差してきた。今日はまあまあの登山が出来そうだと感じた。そして途中飯坂町中野付近からは葡萄沢山と思われる山容が現れた。
案内標識の上部に葡萄沢山?が

 しかし、さらに西に進みトンネルを通過するたびに風雪が強くなった。やはり其処が県境の峠道であることを認識させられた。
東栗子トンネルに入る前、明瞭とはゆかないものの葡萄沢山が見られたし、前記のレポートに記されている登山口が右手に見られた。
トンネルを抜けると直ぐ登山口に直行はせず、、先ず山の全体と登るコースをイメージしながら目標を見定めることとした。
山形県の板谷への道から葡萄沢山を望む

 山全容は国道13号線から桧原板谷線を板谷方向に進むと、ハッキリ確認できる。その結果、トンネルの山形側の入り口の南側に駐車し、其処から急斜面を登ることになった。
東栗子トンネルの山形側入り口の南側が登り口に

カンジキを装着、直ぐ急坂に取り付いたのですが途中で、講師が提唱しているDセーフを適用しメンバーがロープで確保する訓練を加えた。このため相当の時間を要したが、安全性は飛躍的に高
まった。その後は順調に高度を高め、林の中を頂上から西に延びる尾根に到達した。この日は風雪が強く、尾根には大きな雪庇が成長していた。早めの昼食休憩は、安全な雪庇の下で強風を避けてとった。その場所の前には見事なブナ林が広がっていた。
雪庇の下で休憩後

 再び尾根を登りはじめたが、その尾根は狩り払いでもしているように林と雪庇の間は雪面となっていた。
山頂に続く尾根を登る


雪庇には近づかないように林との堺を登った。時折西側の吾妻連峰が見られるが、霞んだ墨絵の世界であった。
頂上付近の広い雪原

約50分で広い雪原に達した。GPSにより頂上付近であることは確認したが、三角点は雪の中で残念ながら探せなかった。


頂上から福島市飯坂方面を望む
栗子山系から延びる尾根

 頂上から東側に下ると、飯坂側の山並みの向こうに福島の盆地、手前には国道13号線が見られた。北側には栗子山系に続く雪庇の張り出した尾根が霞んで見える。天気のわりには展望が良い状態であった。
頂上でメンバーと講師

写真撮影後、直ぐ引き返した。
尾根を下山

午後になり天候が悪化し始めた。昼食休憩をした場所で休憩し、急傾斜の前で、再びDセーフを適用し、ロープでメンバー相互に結び、安全に下山した。

 
最後の急坂にかかる手前で
天気:午前曇り、午後風雪
メンバー:3名と講師
コースタイム:東栗子トンネル西側出口登山口(標高542m)発8:50→9:50Dセーフ訓練10:25→11:22雪庇下昼食(標高750m付近)11:42→12:31葡萄沢山山頂12:43→12:31雪庇下休憩13:19→Dセーフ訓練13:41→東栗子トンネル西側出口登山口着

葡萄沢山へのルート・GPS軌跡


2013年2月11日月曜日

樹氷を求め宮城の最高峰屏風岳へ歩く

 冬の晴れた日、自宅から西南西の方向蔵王連峰に南に白銀に輝く壁が見られます。
基盤の隆起に伴い地溝ができ、その地溝に沿って爆裂火口ができ、その壁面が屏風岳の壁面と
言われているようです。屏風岳と後烏帽子岳の間の股窪沢は地溝の跡とされています。
一方、壁の西・反対側には溶岩流によりできた広大な斜面ができています。
 今回は、講師の企画で、壁に近接した斜面のアオモリトドマツにできる樹氷を歩き、宮城県側の広大な樹氷群を見に行くこととしました。

 散歩はみやぎ蔵王スキー場澄川スノーパーク入り口にある蔵王高原ホテル近くの駐車場からはじめます。コースは澄川スキー場と大黒天を結ぶ蔵王観光道路を聖山平まで歩き、その後、井戸沢と澄川を渡り、屏風岳から延びる尾根の北端部に取り付き登ることにしました。

 観光道路は何時もことですが強風の通り道にもなっておりました。ひたすら聖山平ヒュッテを目指し歩きました。もう少しで後見ゲレンデの手前北側に北限のカラマツの再生育成地(昨年の馬の神岳を歩いたおり、北限のカラマツ自生地がありましたが、そのカラマツの保全事業のひとつでしょうか。)がありました。突然、スノーモービル先導で樹氷鑑賞ツアー客を乗せた雪上車が通過してゆきました。悪天候の中を歩く我々を不思議そうに見ている視線が少し気になりました。
聖山平へむかって蔵王観光道路を歩く

跡見スキー場付近で小休止

 聖山平ヒュッテを過ぎた付近で林の中に入りました。
聖山平ヒュッテ入り口

 驚くことに古いリフトがあります。当然ですが、既に乗り場のプラットフォームは朽ち、鋼材はすっかり錆びていますが、リフトの座席のフレームは残され、ケーブルに取り付けられたままで強風に揺れていました。このコースに入る目印になると講師から説明がありました。

かなり以前に使われなくなったリフト

 屏風岳から伸びる尾根には、其処から井戸沢を渡り、低い尾根を越えて深い谷となっている澄川を渡らねばならないのです。井戸沢は講師のアドバイスにより、雪に埋もれている所を慎重に渡りました。
 ところが、次の澄川は谷が深く流水もあり、渡渉場所を見つけることが出来ず、300m程上流へ上流へと歩くことになりました。
渡渉場所を探す

 30分位歩き、谷に安全に下れ、渡渉も可能と思われる場所見つけました。そこを下りましたが、川幅も2m程度あり、渡渉が可能か心配です。そこで、講師が渡渉可能か調べてくれました。OKがでて、何とか対岸に渡れました。
渡渉地点の直ぐ近くのなめ滝

ただ渡った後も、急な崖をラッセルしながらトラバースすることになりましたが、下を見ると澄川の流れ、上からは雪崩が発生しそうな感じでかなりの緊張した瞬間を味わうことになりました。
渡渉後尾根に取り付くまでのトラバース

 一方そのころから天気が急速に回復して、視界が開けて来ました。急坂を終えると辺りはアオモリトドマツの林に変わりました。
アオモリトドマツの林

 歩いている雪に状態は、数日前に気温が高くなり雪解けその後凍った後に降雪があったようで
当日の強風で吹きだまりとなったところの他は、ワカンは深く沈むこともなく歩きやすい状況でした。
 肝心のアオモリトドマツの樹氷ですが、少し霧氷が付着している程度でしたので、はたして樹氷が出来ているのか心配になりました。
前山・刈田岳が遠望できた 
刈田岳・五色岳を見る。手前のアオモリトドマツは樹氷になっていない

 標高を上げるに従い、見通しが良くなって、中央蔵王の五色岳やロバの耳が見えるようになり、遠くには大東岳が特徴のある形誇張しておりました。ただ、刈田峠のアオモリトドマツの群落は黒い林となって、樹氷とは思えず益々心配になりました。
 昼食後1時過ぎまで標高1600M迄登りましたが何処にも昨年地蔵岳で見たような樹氷は見られませんでした。樹氷形成に必要な気象条件が整わなかったのでしょう。今回は残念でしたが、次ぎにまた来る課題もできました。
 帰りは、登りで付けた赤布を回収しながら戻りました。

 天気:午前曇り地吹雪、積雪215cm(澄川スキー場データ)

 コースタイム:
 8:44澄川スキー場入り口駐車場発→9:11後見スキー場ロッジ9:17→10:07観光道路から井戸沢→
11:18澄川渡渉点→11:57昼食(標高1441 m)12:21→13:08引き返し点(標高1595 m)→14:01澄川渡渉→15:06観光道路へ→15:58澄川スキー場入り口駐車場着

屏風岳の北に延びる尾根を歩いたGPS軌跡

2013年2月2日土曜日

強風の中 「祈りの山・戸神山」を歩く



 仙台から国道48号を山形方面に進むと南側に蕃山、五ッ森、そして白沢から熊ヶ根にかけて
北側は優しいドーム形の山と南側は虚空を突いてそびえる山が見られます。南はオドガミ、北はメドガミで、一度意識してみると忘れられない形の山(太白山などと同じ火山岩頸の山)です。

 1月最後の講座が中止になって、何となく物足らないので少しの時間をつくって、雪の里山を歩くことにしました。
雑木林の中から正面オドガミと右側メドガミ

何処の山にするか迷いましたが、車が止めやすい戸神山としました。四季を通して何回か歩いているのですが、冬期ははじめてです。
 車を白沢配水所のゲート前に止め、当日も数センチ降雪があったので直ぐにワカンを付けました。歩きはじめて、風の強いことに気が付きました。恐らく稜線となるところは大変だと思いました。踏み後が残されていて、ワカンは必要ではない状態でしたが、はずすのも面倒ですし、ワカンで歩くのも悪くないので、帰りまで装着したままとしました。
白沢層が露出している

林道から分岐 東側の尾根に登る

 林道(観光道路としてつくられた)との分岐から低い尾根に登り、戸神山の東側を歩きます。
尾根が北西側が開け、雑木林途切れる所は踏み後が雪で消されておりました。
オドガミ・メドガミ間の鞍部

男戸神・女戸神鞍部の杉林の中の登りは風が遮られており、一息つくことができました。ただ鞍部は雪庇ができており、その手前からはラッセルとなりました。鞍部の上は雪が吹き飛ばされ硬くしまった状態で容易に歩くことができましたが、かなり風は強い状態でした。頂上までの急坂を登る道は風で雪がよせられ、ラッセルをして進むことになりました。

頂上前の急坂(雪の吹きだまりヶ所)

頂上前登りのルートを振り返る

 午後13時まで愛子まで戻らなければならない日程でしたので、11時半まで行動しましたが、頂上まで標高差15mの所から引き返しました。従って林の中の歩きとなり眺望はなく、それなりの写真も撮れませんでした。
仙台市の方向五ッ森を望む



コースタイム:10:10白沢配水所登山口→10:36林道(表コース)分岐→11:15男戸神・女戸神鞍部→引き返し点(標高485m)→12:00林道(表コース)分岐→12:20白沢配水所登山口
歩いたコースのGPSの軌跡
天気:晴れ 歩いた日:2013.1.29