2013年5月7日火曜日

関山隧道から峰渡りを歩く

 山の散歩のメンバーの1人が先日、関山街道フォーラム協議会主催のイベント:4月29日開催の探訪会「関山隧道&峰渡り」へ応募したそうです。ところが20名の定員のところ100名の応募とかで参加出来なかったとの話をしていました。そして、山行からの帰りの車中で、何としても連休中に行きたいと強調しておりました。その他のメンバーも、興味深いコースなのでぜひ歩きたいと続きました。筆者も昨年同様の企画のパンフレットを見て興味を惹かれたのですが、用事で参加できなかったこともあり、何とか実現したいと思い、探訪会の関係者から情報の収集を行うと供に、講師にあらためて計画作成をお願いしました。

 吉岡一男監修「新・仙台の散策」宝文堂1990によれば、山形と宮城南部を結ぶ三つの街道のうち、「峰渡り関山越え」は、峠の頂上付近が急峻で駄送が不可能などで、あまり利用されなかったとされています。一方、明治十五年に難工事の末にやっと関山隧道が貫通すると宮城・山形の物流を飛躍的に高めたとされています。

 後日送られてきた講師からの計画書には、車を宮城側の登り口と山形側の下山口に止め、宮城側の隧道まで行き、その後、宮城側の峰渡りの入り口まで戻り、峠を越える計画と記されていました。やっと関山の峰渡りが実現出来ると興奮の山行の前日でした。

 さて、当日(4月30日)は、天気が悪いと予報されていましたが、愛子から作並に近づくころは薄日もあって、何とか雨は避けられそうな気がしました。しかし、現実は甘くなく、途中しっかりと降雨にあってしまいました。
 
 現在の関山トンネル宮城側の入り口の左手前300mに車が2~3台駐車出来るスペースがあります。ガードレールの直ぐ西側に沢を跨ぐ橋が架けられています。其処が旧道の入り口です。
 暫く国道48号に沿っての道を進みます。殆ど登りの個所はないのですが、国道が仙台方向に高度を下げていくため、国道を通行している車がどんどん小さくなって行きます。西側の斜面は、所々で崩落していました。
関山隧道への道路(右側に崩壊個所が見られる)

 急な法の下には凝灰岩の間知石積が土留めをしています。恐らく間知石積の石材は隧道掘削の派生品と思われます。
 約600m南に歩くと崖の下でヘアピンカーブとなります。其処が峰渡りコースと隧道までの取り付け道路の交差点になっています。カーブの東側は少し高い丘になっていて、其処に登ると坂下番所跡に続く路が認められました。
 
峰渡りの宮城側の取り付きの崩壊個所・ロープ見えます
隧道前の広場(後に右手の斜面を登る)
一方カーブの西側は峰渡りコースの始まりの尾根端ですが、崩壊して崖の状態となっています。そして、崩壊斜面には、トラロープが残されて下りました。このため先日の広瀬市民センターの説明でも、このコース一番の気を遣う所です。注意して下さいと言われました。説明されたセンター職員の方などが、我々のことを考えて、前日の探訪会で使ったロープをそのまま置いていって下さった様です。

 今度は、歩く方向を北北西に変え歩きます。進むに従って、右側の尾根が高度を増します。一方左側の谷は、少しづつ浅くなってきます。所々に崩壊個所もありますが、40年近く使われず何の補修もされないのに、しっかりとした道として残っています。約800mほど進むと道路は大きくカーブして少し登り、隧道前の藪が少し五月蝿い広場に出ます。
隧道前でメンバー

  隧道の前はにはH鋼の柵があって何としても侵入をさせたくないとの管理者の気持ちを表しています。その前で写真撮影のあと、今日のコース変更について、講師から提案がありました。その内容は、天候状態も鑑み、このまま藪漕ぎをして県境尾根を越し状況を見て山形側の旧道に下りる提案でした。
隧道から尾根に向かって藪漕ぎ

 種々考慮した結果、取りあえず隧道上部の鞍部まで登り、その後検討することにして隧道脇から登りはじめました。隧道上部から鞍部までの谷の部分には雪がべったりとついておりました。所々凝灰岩が露出して、それが崩壊しているところが見られ、尾根の部分を慎重に登りました。
 取り付いた尾根は痩せており、山形側は崖に近い急斜面となっておりました。少し、尾根を登るとブナの根が厳しい環境に対応するためか、格子状になっている所がありました。以前この場所を通過している講師は、この場所を記憶しており、恐竜の骨と名付けたことを話してくれました。
ブナの根?の恐竜の骨

 尾根の登りが一段落した小ピークで食事をする頃から、急速に天候が回復し、周囲の山々が見えてきました。


関山から面白山方面の山々が見えてきた
食事をとった小ピーク

 25分ほどで、関山峠に到着です。


峠の南斜面でヘビイチゴか

何かモニュメントでもあるのかとあたりを見ましたが、宮城県側の峰渡りコースに付けられたビニールテープ等があるだけで、直ぐに山形側に下りることになりました。
 宮城側を歩いていないので比較は不能ですが、山形側は歩くのに支障は無いように、整備されておりました。


峰渡り山形側の路
イワウチワが至るどころに咲いている
長い尾根の下りですが、イワウチワが至る所に咲いており、それ程長いと感じることはありませんでした。





  
山形側の徒渉個所の沢の状況

  人生の峠を過ぎた筆者、峠と聞く度に、何時も登りの苦しい思いと下って開放感を得た時の思いが交錯します。峠道は脊梁山脈で区切られた日本の地域交流では重要な位置にあったようですが、現在は隧道・トンネルが容易に作れることから、廃道となる所が多いようです。
 関山峠の峰渡り越えも同様で隧道ができると、山歩きや山菜キノコ狩りなどの人に利用されるのみとなって、藪に戻ってしまっています。
 それにしても、この峠を昔人はどんな気持ちで越えたのだろうか、危険と隣り合わせの路に汗を流し、峠まで来て、これからに下ったところで展開する未来に胸を弾ませることもあったかも知れません。 成果が上げられず失意の中、下りを躊躇し途方に暮れる多くの人が居たかも知れません。


 峠は人の思いが詰まった場所でもあると思います。色んなことを考えながら体力的に衰えを感じる躰にむち打って峠を越えるこの頃です。

歩いた日時:2013:04:30
天候:雨後曇り
コースタイム:9:45国道48号からの隧道取り付け道路(標高580m)発→10:18隧道入り口着(標高596m)10:28→11:37県境尾根取り付き→11:54昼食(762 m)12:15→12:41関山峠(標800m)12:46→ 14:41山形側下り口  :
関山隧道と峰渡りを歩いたGPSの記録


2013年5月2日木曜日

村山葉山ぶなばやしを歩く


講師から送られてきた登山計画書には山形・村山市・葉山1461.7北陵に続く山、古御室(コミムロ)

山 1359.8mを登ると記載されており、鳥居から葉山「山の内登山口」方面へ入山するが、葉山ルートは行かず、手前の尾根から山頂を目指すとされていました。
 ところで、加えて日本山名大辞典によると、「古御室(こみむろ)山・・御室とは村の敬称でかなり古い時代のことなのだろう。都から貴人がこの山の麓に辿りつき、やまで室(集落)をつくったことによる山名と記されているとのことでした。市のサイトにも、村山葉山の麓にある富並地区には縄文時代の遺跡が多く、古来より豊かな自然の幸に恵まれ、中世の城跡やそれに関係する史跡なども点在しているとされ、古御室山に通じる様です。
鏡(かがみ)山・・カガミとは地形語で草原の平坦地を言う。比較的低い山ばかりにあって、放牧にも適した山ということ。」と説明されているとのことです。
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 さて、今回の行程等についてですが、往時この近くに来たとき時期と状況からすると、山の内登山口までは積雪で車は行けない。山の内の大鳥居前から歩くことになりそうだと漠然と思いました。
山の内口からアプローチ

 当日其処に行ってみると、やはり、思ったとおり、山の内登山口なでの道路にはかなりの積雪があり、大鳥居から三枚平までヒタすら歩くことになりました。


杉林で休憩と議論
そして、三枚平から烏帽子岩と鏡山の間にある地図に1217をまず目指すことにして、そのアプローチを検討しました。その結果、大石田町に近い尾根に取り付くことにして、三枚平から杉の樹林帯を通過して、それから雪の付いていない尾根の下の雪面を通過して尾根に取り付くことになりました。
三枚平から登るコース(右側手前の尾根と中央稜線)

しかし、実際にその場所に近づくと雪面は雪崩れる危険性があると判定し、雪の付いていない薮を漕ぎ尾根に取り付くことになりました。
 薮は傾斜が急で小枝を掴みながら必死で登ることになりましたが、その途中には上品なピンクの花をつけたイワウチワが見ることができました。
尾根取り付き前の藪の中イワウチワが咲いていた

 尾根も傾斜がキツく、21日の降雪もありピッケルとアイゼンでの安全確保は必須でした。ただ、途中からはすばらしいブナの大木を何十本もみることができこの山の素晴らしさを実感しました。

ブナ林の尾根を登る

 昼食後コース時間が遅れていることから、登り行動時間を午後1時半としてセッピの張り出している尾根まで進みました。

セッヒの張り出した尾根を歩く
講師からは、そろそろ引き返してもと声がかかりましたが、何となくもっと見通しの良い所まで行きたい強い希望がありました。それで、更にそのセッピの上を少し進むとブナの大木が点在する広い場所(標高約1000m)に着きました。
稜線の奥に広がる見事なブナ林
ブナの大木の前でメンバー



















そこでは東側には村山盆地を挟んで船形連邦の山々や翁山などが見られました。
村山盆地を望む

 また西側には1217mのピークと鏡山への長いセッピのある尾根が続いていました。ただ残念なことですが葉山の頂上と主稜線は見ることができませんでした。


 大きなブナのところでメンバーの集合写真を撮影後、帰途につきました。赤布を回収しながら慎重に急斜面をおりやっと緩斜面となる杉の林までおりましたが、その後、鳥居まででが、極めて長い行程となってしまいました。

三枚平から山の内までが長い行程でした。見送る登った山

コースタイム:9:15山の内地区大鳥居発(標高263 m)→10:24三枚平上部杉林(休憩)10:37→10:57尾根取り付き前の藪→11:13尾根取り付き→13:26引き返し点(標高1046 m 目標ピーク1217m地点手前1.4Km)13:43→15:03尾根から藪漕ぎへ降下→16:21大鳥居着

参加者:講師、他6名
歩いた日時:2013:04:16  天候:晴れ 
コース:GPSの記録のとおり 
村山葉山・古御室山の東の1217を目指して歩いたコース