2013年4月22日月曜日

残雪の和賀仙人山を歩く

 仙人山に向かう車中では、山頂までのアプローチとしてJR岩沢駅と和賀仙人駅の中間・JR岩沢トンネルから南西に延びる尾根を登るか、または夏道がある仙人峠(道祖神を祀られてる久那斗(しなと)神社があり、そのご神木としてとして植えられた樹齢約900年の姥スギ)を経由し尾根を登るコースにするか種々議論をしました。結果は後者の仙人峠へ登り其処から尾根を歩き、頂上へ辿るコースとなりました。講師は過去の経験からJR岩沢トンネル付近から仙人山に延びる尾根がもっとも合理的と判断されて提案されたようです。
和賀仙人山と議論のアプローチの尾根(手前が?で、奥が登った尾根)


 北上西インターから国道107号線を西に向かいます。左手に羽山を見るとまもなく和賀仙人です。この近くには昔仙人鉱山や大荒沢鉱山などがあって、採鉱した赤鉄鉱や、黄鉄鉱を製鉄する和賀製鉄所があったとされています。この地域の金銀銅や鉄などの鉱物資源は、古代東北の大きな戦いの主役アテルイが使う武器や黄金の奥州藤原氏の資金源となったようです。和賀仙人橋のたもとから左に入り今もその名残金属加工の工場の脇を行くと、数台がおける広場がありました。 その先の車道がありましたが、路上にも雪があるので、ここを出発点としました。


 なお、地質的に、この地域は八郎潟・一関構造線にあって、仙人峠周辺はスカルン(カルシウム、鉄、マグネシウムなどに富むケイ酸塩鉱物)をともなう熱水鉱床があるとされています。当然、黒鉱(亜鉛、鉛、銅などを含む鉱石)やその周囲に濃縮された金・銀がこの仙人峠から西側の湯田まで分布していました。

 さて、仙人の名の由来は、種々あるようです。一つは「仙人が棲んでいた」(奥々風土記[1])という説、また、二つ目は釜石の仙人峠と同様「千人の金堀人足が坑内に生き埋めになった」との説です。
巨木塔の石碑の所が登り口

 雪に所々覆われた砂利道を南に進むと久那斗神社の鳥居があります。其処から少し登ると北上線線路と出会います。その線路を西に進むと短い鉄橋があり北側に簀の子歩道橋があります。橋を渡って直ぐに線路を渡り、沢の縁を短い道を進むと仮設の橋があります。直ぐ幅30cm沢を越えると、ブナ林の中を尾根に向かう登りとなりました。

北上線近くの旧秀衡街道?
そのうち比較的道幅の広いかつて秀衝街道と呼ばれた古道の痕跡の北上線に沿う道を進みます。
雪が残る緩斜面

ショートカットして急斜面を登る

その後道は雪が所々に残る緩い斜面をとおり、急斜面に変わります。雪で良く分からないのですが、何度となく旧道と交差します。標高340m地点で小休止の後久那斗神社へは向かわず、送電線の鉄塔を目指して急斜面を登ります。

途中目標とした鉄塔
鉄塔からは再び100m程急坂を登り、崩れかけているセッピを越え、尾根の夏道に出ました。

尾根に上がる前のセッピ

尾根の夏道を歩くメンバー
尾根には、開花直前のイワイチョウやセリバオウレンがみれました。
 標高675m付近で休憩後、アイゼンを装着して雪面を登ります。

アイゼン等をつけたメンバー
視界が開け、北側の山々や北上盆地とその向こうに早池峰山と薬師岳が見えます。暫く歩くとセッピが張り出した西側の尾根とその南の端に山頂が見られますが、かなりの距離です。また歩くと西側の視界も開けて、うっすらと富士山のような白い鳥海山が望まれました。
西の方向に白い鳥海山が見えます

 注意して見ながら歩きましたが、岩沢コースとの分岐は良く分かりませんでした。
岩沢コース分岐は分からず。頂上手前の東西の尾根を歩く

標高850mを越えると先に見えていた西側の尾根と合流しますが、ここでもセッピを登ることになります。
 頂上はセッピも含めたピークと思われますが、山頂の標識は5m程度下がった木に取り付けられていました。
頂上の標識前でメンバー

 そして南の方向に夏油三山とその先に焼石岳がくっきりと見られました。よく見ると、その手前に赤い小屋が見られました。どうも夏油スキー場の山頂小屋の様です。
 下山中途から、天候が急変し風が強くなると供に西側から黒い雲が広がってきました。尾根から下りるコースは登りのコースではなく、夏道の尾根のコースを久那斗神社へ降り、姥スギを見て秀衝街道を歩きました。

久那斗神社(仙人峠近くの)
姥スギを過ぎるとセッピが壊れた雪のブロックが見られる様になりました。

巨木・姥スギ 
北側は急斜面で和賀川に落ちています。昔の街道をこの時期通過するのは相当の危険を覚悟が必要と感じました。

北側が落ちている斜面をトラバース
少し下り、前のメンバーが通過した後、変な音がしました。目の前を雪の大きなブロックが転がって落ちてゆきました。はじめは何が起きたのか意識出来なかったのですが、ブロックが太いブナの根本に衝突し粉々に散ったを見て、改めて恐ろしさを感じました。
雪のブロックが落ちてくる

それからは雪のブロックが崩落する谷筋では注意を払い慎重に通過し、登山口に戻りました。

参加者:講師、メンバー5名
日時&天気:2013年4月16日、晴れのち曇り
コース:GPS記録のとおり
和賀仙人山を歩いた軌跡

コースタイム:9:07駐車場→9:24JR北上線を横断→9:55秀衝街道から鉄塔へ分岐(標高341 m)→10:41尾根夏道合流地点(標高517 m)→11:20昼食(標高675 m)11:44→12:40頂上13:09→14:13那斗神社→15:22駐車場