2013年7月3日水曜日

丁山地東端に位置する陽陰の双耳峰・甑山を歩く


 山岳信仰の霊場として崇められてきた甑山は、秋田と山形県境に連なる丁山地の東端に位置し、藩政時代には矢島、本荘、亀田の各藩が、「矢島街道」の交通の要衝として、参勤交代の折などに往来していたという甑峠のすぐ頭上にあって、 山全体が急峻な岩場を抱いた2つの岩峰(男甑981.4mと女甑979m)からなっていて、その険しさから、麓にも手つかずの自然が残り、巨木も数多く残されているようです。
  甑は、韓国でも「シル」と呼ばれ、古代、様々な食物を一緒に入れて蒸す伝統的な器で煮炊きに使われた器で「既存の世の中の未成熟した思想、哲学、宗教文化を一つにして、新しい真理に統一完成させる大きな器」という意味が含まれているとされておりますが、この山も器が大きく懐の大きい魅力的な山とされています。

 さて、今回も前日に体調をくずし、眩暈もあったことから、心配したのですが、山行の当日の朝には少し落ち着き、無理しないこと自分に課して参加としました。と言うのも梅雨にも関わらず上々の天気で、この機会を逃す手はないと思ったからです。
 国道48号と13号を結ぶ県道29号からは残雪が美しい月山が見られましたし、勿論国道13号からは葉山、甑岳、船形連峰、そして神室連峰がハッキリ見ることができました。新庄市郊外の13号からは北の方向に丁山地が見られ、東の端特徴的な双耳峰の甑山が確認できました。 
電柱直ぐ右が男甑山その隣の小さく鋭いかたちが女甑山

 アプローチは新及位で13号から県道35号を西に奥羽本線にそって進み大荒沢を北上する前森林道を旧矢島街道にある登山口に進みます。

前森林道入り口の案内板
前森林道終点甑山登山口のゲート
今回の登山コースは大女甑山カツラを経由し男女のコルに至り、尾根を西南に進み男甑山に登り、少し戻って西北に延びる尾根を県境峠まで下り、東に方向を変え名勝沼をとおり甑峠を通過して登山口にもどるものになりました。当然女甑山往復することも考慮したのですが、体調は十分でなく容易なコースにしていただきました。

杉林の奥の湿地が見られる

   登山口からは杉林中広い路を少し登ります。まもなく右手下に湿地がみられニッコウキスゲと思われる黄色い花がみられます。その辺からはブナも混じる広葉樹の2次林のなか快適に歩けます。途中GPSのスイッチがオンになっていなかったことに気付き、あわててスイッチを入れました。


湿原付近の小屋 
従って、登山口から少しGPSの記録が欠けています。歩き始めて25分程度で女甑山の大カツラに到着します。木の周囲にはカツラを守るための柵が設けられたおり、正面には森の巨人たち100選の表示板があります。樹高25m、幹周13.40mとなっているようです。
女甑山の大カツラ

  男女のコルまでは地形図に記載されている急な等高線の間隔は狭く、きつい登りのはずですが、九十九折りの緩やかな登りです。

女甑山の大カツラからコルの間の緑
さらに途中で休憩をしていただいたおかげで、コルに何とか登ることができました。コルからもゆっくり登ります。振り返ると女甑山とその北側に名勝沼が光って見えます。
女甑山を見る


名勝沼がはるか下に見える












 急な登りは少しですが、何回かピークを越えて進むので精神的に疲れますが、何とか頂上に着くことが出来ました。頂上には石英安山岩の大きな岩があります。
 そして、東南の方向には鳥の頭が突き出るように有名な烏帽子岩が見られます。何とも不思議な感じがします。日差しを避けて低木の林に入り、昼食ですが、木々の間に上部を雲に覆われた鳥海山を拝むことができました。
頂上の岩
男甑山のシンボル烏帽子岩が見える
      
上部に雲をかぶる鳥海山も木々の間に見られます

名勝沼へは頂上から少しコルの方向に戻り北西方向に延びる尾根をおります。かなりの急坂です。
県境峠に下る

所々低木のところから名勝沼や 女甑山がみられます。
  勾配が緩くなり十字路コルから男甑山の裾を巻いている路との分岐を通過し県境峠に着きます。
途中見つけたサンカヨウ

ここで尾根をおります。起伏の少ない路を皿川方向への路との分岐を経てウイルソン株まで歩き、そこで株の調査?をし写真を撮って、名勝沼に進みます。
名勝沼前で講師とメンバー

  名勝沼は静かで特に今風の案内版もなく変に観光地かされていないところが良いところです。この沼の成因は恐らく甑山の崩壊で堰き止められた河川がつくった沼と推察します。

名勝沼周回路北側からの景色
沼の周りには周回の路はあって、色々な沼の表情は見ることができます。この周回の路から甑峠に行く道があるようです。峠から皿川に延びる路と交差して峠に向かう路と沼から峠に直接通じる路です。

崩壊地で見つけたヤグルマソウ
我々は沼から直接峠に登る路を選びました。女甑山の下には山から崩壊して落ちてきた岩が積み重なるところを通ります。
 
峠にはウインチとワイヤロープが赤錆びたまま放置されておりました。峠には女甑山への路が見られます。
  今回は男甑山のみとなりましたが、次の機会には女甑山に登り烏帽子岩に対峙する場所に拝みに参りたいものです。

メンバー:講師、他2名  天候:晴れ 気温:31度(新庄市) 山行期日6月25日(火曜日)
コースタイム
10:30前森林道登山口発(標高642m)→10:53女甑の大カツラ(683m)→11:29男女コル(833m)→
12:12男甑山頂上12:43→12:50県境峠へ分岐(978 m)→13:23県境峠(739m)→13:52名勝沼着→14:02周辺ルート調査(標高693m)14:24→14:48甑峠(738m)→15:10前森林道登山口着


甑山を歩いた軌跡(GPSログ)

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